MS Officeの代わりに、OfficeSuiteってやつは安いし良さそうだな。でも、やっぱり純正ではないし、使えない機能もあるでしょ?どのレベルまで互換性があって、何ができて何ができないのかを知りたい。買ってから、安かろう悪かろうだったと後悔したくないなあ。
こんな方に向けて、OfficeSuiteという格安オフィスソフトと本家Microsoft Officeの互換性・機能の違いを徹底調査しました。
実際にMicrosoft Officeで作ったファイルを開いたり、僕がよく使う機能を確かめたりしました。スクリーンショットも載せたので、OfficeSuiteを買うか迷ったときの判断に役立ててください。
OfficeSuiteの表計算とExcelの互換性
まずは、OfficeSuiteの表計算ソフトSheetsとExcelの互換性を見てみます。
関数の数は本家Excelの6割程度
表計算の一番肝となる関数の機能。SUMやIFなどのシンプルな関数はもちろん、VLOOKUPなどの応用的な関数などExcelではいろいろありますが、OfficeSuiteではどうでしょうか?
結論は上の通り、Sheetsの関数の数はExcelの6割程度です。Excelの関数一覧とSheetsの関数候補をもとに自力で調べたところ、
となっていました。Excelの関数の個数なんて考えることも普通ないですが、半分以上の関数はSheetsでも使うことができ、想像以上の互換性です。
でも、Excel関数の4割ほどはOfficeSuite Sheetsにはありません。統計関数や数学系の関数は省かれている感じですね。
家計簿や資産管理、顧客管理など単なるデータの管理には十分な関数がありますが、それらの分析となると厳しいケースがありそうです。とはいえ、僕のような個人利用なら十分そう。
具体的な対応関数は、こちら(PDF52KB)にまとめました。結構マイナーな関数使ってるけど大丈夫かなあ、なんて方はチェックするのがおすすめですね。
Excelとの操作面での違い
関数の数以外には、操作面で違いがありました。格安オフィスソフトですし、「必要機能は十分」と売り出しているだけあって、操作にかかわる機能も絞り込まれています。
まず、ツールバーが違う。圧倒的に、ツールの数が少ないんです。特に「データ」の項目は、Excelと全然違います。外部のデータベースやクラウドに接続する機能なんかはありません。


まあこの機能は使わない場合が多いので無くても困りませんね。一方、残念だと感じたのは、選択機能がシンプルすぎること。
Excelだと「空白のセルだけ選択する」という操作が可能です。検索と選択オプション、という項目で簡単にできます。


しかし、この項目、OfficeSuiteではかなり簡素化されており、Excelのような高度な選択はできません。

こういった点がメイン機能である関数の多さ、以外のOfficeとの大きな違いです。操作面でも機能は少ない。でも、その代わり何をするにも迷わずに操作ができて楽ではあります。
見た目はよく似ている
ExcelとOffice Suite自体の見た目はよく似ています。もちろん機能の量、内容が違いますから、完全に同じではない。
しかし、表に入力したり、閲覧したりするだけなら、すぐには違うソフトだと分からないくらいには似ています。ツールバーの配置や構成も似ているので、機能こそ少ないですが、Excelに慣れていてもストレスなく操作できています。
実際にExcelで作ったファイルを開いてみる
Excelで作ったファイルを開いてみました。まずは、Excelの家計簿テンプレートです。


関数も問題なく動作しますし、それ以上にレイアウトや色もそのまま、フォントもそのまま表示されました。
家計簿くらいの機能のExcelならOfficeSuiteで全然そのまま開けそうです。互換性は問題なし。
けれども、Excelの資産管理テンプレートは関数周りでエラーが生じてしまいました。OfficeSuite側で対応できない記法があったようです。


フォントや色は問題がありませんが、関数の互換性がこの場合はダメでした。人がパッと見でわからないような複雑な式だと、OfficeSuiteとの互換性は低くなるでしょう。
xlsx以外のファイル(xls、xlsm)なども開ける?
気になるのが、マクロ有効なExcelファイルxlsmや古いバージョンのExcelファイルxlsなどもちゃんと開けるのかというところ。試してみたら、
- マクロが入ったファイル→開ける。もちろんマクロは使えない。
- 古いバージョンのファイル→開ける。
でした。OfficeSuiteはマクロに非対応なので、マクロは使えませんが、マクロの登録されたボタンもその他のレイアウトも全く崩れずに表示できました。

古いバージョンのファイルも問題なし。むしろ古いExcelは機能が少ないので、古いファイルのほうがExcelとの互換性を高く保てる気すらします。
OfficeSuiteのワープロとWordの互換性
次は、OfficeSuiteのワープロであるDocsとWordの互換性です。
ワープロソフトなのであまり違いがない
いろいろ試しましたが、WordとOfficeSuite Docsにワープロという機能面で違いはあまり感じませんでした。
操作は似ているというより同じ。そして、同じような文書を作ろうと思えば、同じような文書ができます。
たしかに画面レイアウトもよく似ていますし、ExcelとOfficeSuite Sheetsほどの大きな違いはなさそうです。
Wordで作成した段組みレイアウトも崩れない
Wordで作成した文書を開いてみます。段組みがあり、デザインも少し凝ったテンプレートをWordで選びます。

それをOfficeSuiteで開いてみました。結果は以下の通り。全くレイアウトもデザインも変わらず、そっくりそのまま開けました。

通常利用の上ではWordだろうと、OfficeSuiteだろうとあまり変わらない印象ですね。ワープロ機能については、OfficeSuiteの互換性がかなり高い。
複雑にセルを結合しまくった表は無理かも・表自体の操作はしやすい
しかし、OfficeSuite Docsでは、Wordで作った一部の表において枠がずれたりしました。
(スクショ)
セルを何度も結合しており、さらには、表を利用してレイアウトを組んでいるWordファイルです。このようなイレギュラーなWordファイルだと、さすがにOfficeSuiteの互換性では厳しいですね。
Wordで強引な見た目の整え方をしていると、OfficeSuiteではレイアウトが崩れてしまいます。
OfficeSuiteのスライドとPowerPointの互換性
OfficeSuiteのプレゼンテーションソフトSlidesとPowerPointの互換性も見ていきましょう。
格安オフィスソフトで、プレゼンのスライドをつくる人は少ないですが、OfficeSuiteのSlideは意外と使えます。
アニメーション・画面切り替えエフェクトが引き継げる!
まず、OfficeSuite SlidesとPowerPointの画面切り替え、アニメーションは一般的なものなら互換性があります。

つまり、PowerPointで設定したアニメーションはOfficeSuiteで再生しても、ちゃんと表示されるわけです。
いろいろ試しましたが、誰もが知る定番エフェクトは、完全に互換性があるようでした。もちろん「」などマイナーな効果はOfficeSuiteではダメです。
無料オフィスソフトやオンラインのソフトだと、アニメーションなどの効果は互換性が全くないことが多いので、さすが有料ソフトという感じがします。
表示レイアウトも崩れない・PowerPointを開くのは問題なし
もちろん表示レイアウトも崩れません。なので、人からもらったPowerPoint資料を開くのは完璧です。


写真が入っていても、ちょっとした図形で装飾がされていもそのまま表示されます。
テンプレートの数は少なめ
以上のようにOfficeSuiteのPowerPoint互換性は高く、PowerPointの資料を確認したり、少しいじったりするには十分な互換性がありました。
でも、OfficeSuiteには、PowerPointのような豊富なテンプレートがありません。装飾も多くない。なので、OfficeSuiteだけで美しい、デザインの良い資料を作るのは厳しそうです。
スライド基本機能は揃っている
まとめると、OfficeSuiteのSlidesには、
- アニメーション
- 画面切り替えエフェクト
- 写真や図形のレイアウト
などプレゼン資料作成の基本機能とその互換性は十分にありました。が、テンプレートが少ないので、ネットで探したり、オンラインのPowerPointからダウンロードするといった工夫が必要ですね。
OfficeSuiteのメールとOutlook(の互換性)
実はOfficeSuiteは、格安オフィスソフトにも関わらずメールソフトも含まれています。Microsoft OfficeでいうOutlookに値するソフト。
メールソフトですから、設定さえすればどんなメールアカウントも使えるようになります。なので、ここでは互換性というより機能の違いを見ていきます。
OfficeSuiteのメールにはOutlookのごちゃごちゃさがなくて良い
OfficeSuiteのメールには、Outlookのごちゃごちゃさがない。これがちょっとお気にいりです。
Outlookだと上の方に、やたらとツールが並んでいて、ごちゃごちゃしています。僕のように、受信、送信ができて、少しの定型文を保存しとくだけなら、このツールは使わないので邪魔です。

でも、OfficeSuiteのメールは、このようにスッキリ。

これがわかりやすいし、操作しやすいのでかなり気にいりました。
メールアカウントの設定が簡潔明瞭
また、OfficeSuiteのメールアカウントの設定はとてもしやすいです。なぜなら、必要な項目をひとつの画面でまとめて入力できるから。

Outlookでは、設定画面もごちゃごちゃです。セットアップ時には、勝手に設定しようと頑張ってくれますが、Gmailなどでない限り間違った情報を設定しようとして迷惑です。
でも、このOfficeSuiteは、必要項目をこうしてまとめて教えてくれます。ここで入力すれば設定がすべて終わる、とても便利です。
Windows標準のメールはこうした設定がどこにあるのか分かりづらいですし、Thunderbirdとかもごちゃごちゃしていますよね。OfficeSuiteはシンプルにまとまっています。
カレンダー連携もできる
カレンダーとの連携であったり、OutlookでできるTeams会議リンクの追加は無理だと思っていましたが、なんと、
- カレンダー・連絡先連携もできる
- Teamsの会議リンクを自動で生成できる
となっていました。かなり機能が充実しています。

Outlookより拡張性はないし、機能も数こそ少ないですが、あると便利な機能はきちんとあります。単なるメーラーとして使うなら、簡潔明瞭で使いやすいのかなと。
- メールの読み書きができる良いソフトも格安オフィスに付いているといい
- OutlookでなくてもいいけどWindows標準のメールは使いづらいから嫌
- 便利機能があるメーラもほしいけど、ごちゃごちゃしてると使いづらいと思う
こんな人にはOfficeSuiteのメーラーはピッタリです。
OfficeSuiteの互換性をまとめると?向いている用途は?
OfficeSuiteの互換性をまとめると、
互換性は必要機能とプラスアルファだけ
というところです。OfficeSuite公式が「必要機能は十分。」というように、Officeとの互換性は一般的な範囲では十分にあるといっていいでしょう。
Excelの関数も6割以上対応していますし、ワープロやスライドのソフトに関しては、新規作成はもちろん、Microsoft Officeで作成された書類の編集も問題なさそうでした。
表計算だって、請求書やユーザー管理、家計簿などの単純な計算しかしないものなら、まず確実に使えます。基本的な検索関数も使えるので、少し高度な管理表も対応できますね。
必ずしもミニマムの機能だけではない
OfficeSuiteそのものは、必ずしも機能が最小限ではありません。
PDF書き出し、アニメーション、条件付き書式、変更履歴の追跡など、そこまで使うとも限らない機能がちゃんと搭載されています。
Excel/Word/PowerPointで作ったファイルも開けましたし、編集もできたので、そこそこの機能は入っていますね。
メールソフトも付いている
メールソフトが付いているのもポイントです。これは互換性に直接関係する話ではありませんが、個人や小規模ビジネスでの利用なら、メールソフトもOfficeSuiteに入っているのは便利です。
大抵の用途はOfficeSuiteでOK
結論、大抵の用途はOfficeSuiteでOKです。
Microsoft Officeといろいろ比べながら互換性を検証した結果、
でした。今回紹介した互換性のない部分を知って「これは困る!」と思わない限り、OfficeSuiteで十分な機能を用意できます。
OfficeSuiteの料金

そのOfficeSuiteの料金はこのようになっています。
Home & Business 2023 | Personal | Family | |
---|---|---|---|
ライセンスの種類 | 買い切り | サブスク | サブスク |
価格 | 9,980円 | 4,780円/年 | 7,180円/年 |
ライセンスの範囲 | Windows1台 | Windows1台 モバイル2台 | Windows1台 モバイル2台 |
使えるアプリ | Sheets(表計算) Docs(ワープロ) Slides(プレゼン) Mail & Calender | Sheets(表計算) Docs(ワープロ) Slides(プレゼン) Mail & Calender | Sheets(表計算) Docs(ワープロ) Slides(プレゼン) Mail & Calender |
クラウドストレージ | 5GB(無料分) | 50GB | 50GB |
購入(Amazon) | https://amzn.to/3v4Yth0 | – | – |
おすすめは買い切り版・サブスクは非推奨
表を見ると、ライセンスには「買い切り」と「サブスク」の2つがあります。
サブスクだと常に最新の機能が使えますが、これはおすすめできない。なぜなら、サブスクだと結局は格安じゃなくなるから。
たしかに年あたりの料金は安いですが、これが積み重なるとかなり高くなります。
それに、本家Officeも含めて、オフィスソフトの機能は大して進化しません。わざわざ最新のOfficeSuiteを使うために高いお金を払うのはコスパが悪いです。
買い切り版だと本家Officeの4分の1の価格!
そして、買い切り版は安いです。本家Officeの永続ライセンスと比べても一目瞭然。
Microsoft Office PersonalはExcelとWord、Outlookしか入っていないのに、OfficeSuiteの4倍近くします。
OfficeSuiteなら、4分の1の価格でそこそこ機能もありますし、PowerPointに値するSlidesやPDFソフトも使えます。
Microsoft Officeは高すぎまし。いらない機能も多くあります。OfficeSuiteはそんなに機能は多くないけど、必要機能はすべて揃っています。そして、安い。
その安さと機能性に惹かれる方は、OfficeSuiteをぜひ真面目に検討してみてください。用途など相性は良いと思います。
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