2022年11月10日の午後から11日の夜まで28時間かけて、バンコクからクアラルンプールへ鉄道で移動してみました。つまり、マレー半島縦断の鉄道旅をしました。
鉄道による原始的なマレー半島縦断の方法は、ネットで調べても、情報が古いものが多く、しかもコロナのために国際列車が止まっていたこともあり、全然最新の情報が見つかりませんでした。
バンコクからクアラルンプールへ鉄道で行きたい、という僕と同じ希望を持つ方に向けて、19歳少年がバンコクからクアラルンプールへ移動した旅の方法と、経験談を書いていきます。
※車窓から見える景色とかはなるべく紹介しません。ほぼ寝ていましたし、というか自分の目で見たくないですか?
バンコクからクアラルンプールへ鉄道で行くには
移動に使う列車は2つ
バンコクからクアラルンプールへ鉄道で行くには、次の2つの列車が必要でした。
- バンコク→パダンブサール(タイ国鉄Train 45)
- パダンブサール→クアラルンプール(マレー鉄道KTM ETS)
昔は、バンコクからパダンブサールよりも先のバタワース行きの国際列車があったらしいですが、もうありません。
なので、マレーシアのパダンブサール駅がTrain 45の終点となり、そこでマレー鉄道のKTM ETSに乗り換える必要があります。
全体のスケジュールがこちら。遅れとかも加味して作っていたので、この通りになりました。
日時 | 実際の時間 | 場所 | 内容 |
---|---|---|---|
11月10日15:10(タイ時間) | 15:30 | フアラムポーン駅 | タイ国鉄パダンブサール行き45番列車に乗車 |
11月11日9:50(タイ時間) 11月11日10:50(マレーシア時間) | 10:36 11:36 | パダンブサール駅 | 乗り換え駅に到着・イミグレーション |
11月11日13:40(マレーシア時間) | 13:40 | パダンブサール駅 | マレー鉄道KLセントラル行きEP9277に乗車 |
11月11日19:10(マレーシア時間) | 19:10 | KLセントラル駅 | クアラルンプール到着 |
タイ国鉄は国境を越えないのか!?
コロナの影響で、タイ国鉄のマレーシア行きの国際列車は、今年8月まで止まっていたらしい。逆に言えば、今年8月に再開されました。
ネットを調べても全然情報がないため、僕はバンコクのフアラムポーン駅で駅員さんに、Train 45はマレーシア側まで行くのか?と聞きに行きました。
しかし、駅員さんいわく「タイ側で止まる。マレーシアには行かない。」とのこと。オンライン予約システムの画面を見せたり、国境を越えないということか?など言葉を変えたりして、何度も聞きましたが、「Train 45は国境を越えず、マレーシア側には行かない。」とのことでした。
国境を越えないとなると、危険地帯パダンブサールで降りることになる
すると、ここで問題になのは「国境の町パダンブサールで道路を歩くなりして国境を越えないといけないのか?」ということ。
パダンブサールは、外務省が「渡航警戒レベル2」としているソンクラー県にあり、イスラム過激派などが爆発テロをしかける危険地帯です。
バンコクの国連職員の方も「国境は降りずに通過するなら問題ないが、降りるのは危険。」と言っているくらいです。
なので、タイ側のパダンブサールでは、絶対に列車から降りたくない。列車でそのまま国境を越えてくれないと困ります。
結局パダンブサール行き45番列車は国境を越えた
結果的には、Train 45は国境を越えました。始めの駅員さんが間違っていました。
後日Train 45の発車時刻に駅に行き、乗組員や乗客、ホームに居る駅員など5人ほどに確認したところ、国境を越えると確認しました。
もちろん僕の乗ったTrain 45も国境を越えて、マレーシア側のパダンブサール駅に終着しました。マレーシア側のパダンブサール駅に終着すれば、後はそこからマレー鉄道に乗るだけで楽です。
列車の予約時に気をつけたいこと
今回はマレー鉄道もタイ国鉄もすべて事前にネットで予約しました。窓口で予約するのは大変ですし、なにせネット予約だと座席の場所などをゆっくりと選べます。
そこで、気づいた注意点があります。
早めに予約しないと席が埋まる・一週間前でも遅いかも
まずは、早めに予約すること。自分は
- タイ国鉄を6日前に予約:全然空いている。自由に席を選べる。
- マレー鉄道も6日前に予約:ほぼ埋まっている。選べる席は限定的。
となりました。
タイ国鉄の国際列車なんてそんな使うやついないだろ、と思っていましたが、前日の夜に確認したところ、なんとほぼ満席状態まで予約されていました。
別に国境を越えるわけでなくても、単にタイ国内の移動手段としても使われていることが、乗ってみて判りました。
マレー鉄道は6日目前に予約しましたが、遅すぎました。既に席がかなり埋まっており、タイ国鉄からの乗り換えに都合のいい13時40分発の列車は、20数席しか残っていませんでした。
もちろん一等車は売り切れです。マレー鉄道は、進行方向の席と逆向きの席があり、もちろん通路側と窓側の席があります。
自分は、窓側の最後の1席を確保しましたが、進行方向と逆向きの席になりました。なるべく早くチケットをとることが大事です。
電源のある場所に近いほうがいい(タイ国鉄)
これはタイ国鉄に関して。幸いにも事前にネットで情報を見たので助かりましたが、Train 45は全座席にコンセントがあるわけではありません。
トイレの洗面台付近と、車両の中央部分にしかないので、車両の中央部分の席を予約するのがいいです。
具体的には、17,18,21,22のいずれか、これだと確実に自分の目で見える範囲にスマホを保管できます。
行き先は「Padang Besar」
あとややこしいと感じたのは、タイ国鉄においては、
となっていました。チケットを買うときは、「Padang Besar」行きを買わないといけません。
なお、Padang Besar(Thai)とPadang Besarの間は列車でたった1分の距離です。
ネット予約なら途中で決済を中断しない
タイ国鉄のオンライン予約システムdticketは、何年か前に更新されたようですが、それでも細かい部分の設計が適当です。
というのは、予約して支払い画面に進むと、そこで中断することができません。
チケットの日付を確認したく、前の画面に戻ろうとしたところ、エラーになりました。そして、なんと自分が予約したかった席は確保されたままになり、次の日になるまで再度予約ができませんでした。
ブラウザの戻るボタンだけでなく、決済画面の「Cancel」ボタンを押しても、同じ現象になります。
時間があるときならいいですが、「最後の1席が本当は空いているのに、予約できない!」となったら最悪です。
始発のフアラムポーン駅から乗ったほうが楽
あとはフアラムポーン駅から乗ったほうが楽なんじゃないかと。
バンコク中心だと、Bang Sue Junctionという駅も候補ですが、停車時間が短い上、先に乗客がのっている車両に乗るわけなので、
があるなあと思いました。
まずは、タイ国鉄に乗車
ここからは旅の記録です。まずはバンコクのフアラムポーン駅でタイ国鉄に乗車します。
タイ国鉄Train 45は、20分遅れの発車・46分遅れの到着
バンコクではフアランポーン駅に1時間前に行っても列車がホームになく、20分遅れでの発車となりました。下調べで駅に行ったときは、定刻通り発車していました。
さらに、途中でも遅れまくり、最後は46分遅れで到着しました。
列車はかなり混んでいた
列車はかなり混んでいました。それもそのはずで、予約画面を見たらほぼ満席状態でした。
タイ人の方も長距離移動する方が多く、みな寝台で寝ていました。朝になると、少しずつ乗客が減っていくのが分かります。
列車の中はまあまあ綺麗
列車の中はまあまあ綺麗です。個人の感覚によりますが、バンコクの屋台でご飯を食べまくり、一泊1000円を切るようなホステルにも滞在した自分としては、綺麗だと思いました。
とくに臭いもなく、車体は古いものの、こんなもんかーという感じです。
トイレはやはり〇〇だが、臭くない
気になるのはトイレですが、これはやはり線路にそのまま流れていくタイプです。しかし、そのおかげで臭いものがたまらないため、臭くありませんでした。
設備が古いのでこちらは綺麗とは言えませんが、水もちゃんと流れますし、換気で朝はむしろ寒いくらいで全然嫌な気分にならずに使えました。
乗り心地は良かったり悪かったり
タイ国鉄は乗り心地が良かったり、悪かったりという感じでした。バンコクからチェンマイへも列車で移動したことがありますが、そのときは揺れやキイキイという音がひどかった。
しかし、バンコクからパダンブサールは、そんなに酷くありませんでした。最初のうちは、乗り心地はかなり良かったですね。
ですが、田舎へ行くにつれて、ガタガタ、キイキイしてきます。あたり一帯が草原とか林なので、メンテナンスは行き届いてなさそうです。
個人の意見として、YouTubeで「過酷!」と書いている人がそれなりにいますが、さすがにそれは嘘じゃないかと。タイ鉄道の寝台列車には2回乗りましたが、全然過酷じゃないし、快適でした。
そして、タイとマレーシアの国境を越える
一番の楽しみであり、一番の不安なのが、国境を越えるところ。
タイ側のパダンブサール駅につくと、車掌さんが「Padang Besar Thailand! Thailand!」という感じで大声で歩き回っていました。
「次がマレーシアだよね?」と聞くと、「Only one minute」とのことで、本当に一瞬で国境を越えることができました。
タイを出国・マレーシアへ入国
駅についたら、まずは出国手続きをして、次に入国手続きです。もうマレーシアへ着いているのに、そこでタイを出国するというのは不思議です。
流れにそって進むだけでした。けれども過去には、このタイミングでトイレに行き、イミグレが閉まってしまい、入国スタンプをもらえなかった結果、不法滞在で逮捕された日本人もいるようです。
こういう場所では、どんな理由があろうと、他の人と違う行動をするのは絶対に避けたいところですね。
手続きはすんなりと通過できた
空港ほどのスピードではないものの、この一連の手続きはすんなりと終わりました。日本のパスポートが最強だからでしょうか?
タイの出国には指紋認証がありました。自分はよくわからず、機械の指示を無視して片手しかスキャンしなかったのですが、それでもそのまま通してくれました。
マレーシアへの入国手続では、前のイスラム女性は、いろいろと聞かれていましたが、自分はパスポートを渡して、ぺらぺらと滞在歴を確認された後、そのまま入ることができました。
X線検査もありますが、かなりいい加減で、トランクとナップザックしか確認されません。体に身に着けているものはチェックしないようです。
最後は、マレー鉄道に乗車
旅の最後は、マレー鉄道への乗車です。今回、自分はある程度乗り換えに時間を確保したく、13時40分発の列車を予約していました。
チケットを現地で買うこともできますが、予約したときの空き状況からして、夜遅いチケットしか買えないかもなので微妙ですね。
綺麗すぎる・日本の新幹線!?
マレー鉄道はとにかく綺麗。
電化されており、タイ国鉄とは違って、電車です。線路も整備がきちんとしているので、乗り心地が全く違います。
しかも、車内は新幹線のような感じです。少し狭いので、正確には「東京の在来線グリーン車」という表現があいそう。
電光掲示板やトイレのボタンなんかは日本で見たことがあるのと同じです。調べたところ、電車は韓国で製造され、電装は日本の三菱電機が担当したとのこと。
無料Wi-Fiがある
また、無料Wi-Fiがあり、インターネットを無料で使えました。ただし、とても低速です。(自分はタイのAISで国際ローミングを契約したので、必ずしも必要はありませんでした。)
Wi-Fiの繋がりやすさ、速度は携帯回線と同じ感じです。携帯の電波が入らないところでは、Wi-Fにつなげてもインターネットにはつながらないので、意味はないかもです。
マレー鉄道まとめ:異国情緒はほぼなし
結論は、マレー鉄道は異国情緒はありません。
日本の新幹線と在来線グリーン車を足して半分したようなそんな感じ。トイレはピカピカ、電光掲示板には速度が表示、各席にコンセントあり、で異国情緒はありません。
マレー半島縦断の鉄道は今後いろいろ変わるかも
この記事は2022年11月の情報です。コロナもありますし、今後いろいろ変わっていくと思います。いくつか気になったところを載せます。
タイ国鉄はフアラムポーン駅を廃止したい
まず、タイ国鉄はフアラムポーン駅を今後廃止するようです。そして、バンスー新中央駅に、フアラムポーン駅の機能が移管されます。
これは以前からの計画で、2021年には実現されるはずだったのが、バンコク市民の反対で実現していないとのこと。
そのため、バンスー新中央駅はピカピカのまま誰もいない、という寂しい駅になっています。新中央駅の方が設備が明らかにいいので、反対があるとはいえ、近いうちに移管するでしょう。
国際列車は今年再開されたが、運用が謎すぎる
国際列車は今年再開されたわけですが、駅員さんの中には、そんなのはない!という人もいるくらいで、運用が謎です。おそらくdticketでチケットを取れれば、その列車は存在します。
しかし、今後どのような形で運用されていくのかを考えると、やはり謎ですね。
まとめ:鉄道でバンコクからクアラルンプールへ行くと面白い
一言でまとめるなら、列車でのマレー半島縦断は面白い。
することはないですし、Macbookを車内で使うと盗られそうなので、ほとんど寝ていただけですが、それでも面白いです。
車窓から見える景色、他の人の様子、やはり異国ならではの新鮮な発見があります。海洋国である日本は、陸路国境がないので、陸路での越境も印象的。
全体的に、システムはイミグレも含めいい加減ですが、「これでいいんだ」と思えるその雰囲気がかなり好きです。ぜひ東南アジアのこの独特な雰囲気、いい加減さを味わってみてください。
下調べで参考にした動画
最後に、下調べの際にはこちらの動画を参考にさせていただきました。
撮影者の方には、Twitterでもいろいろと教えていただきました。ありがとうございます。
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